「日日是好日」6月、7月  管理人のページ

2009年6月9日(火)
茶畑は世界に誇れる文化的景観

今朝、静岡新聞で、常葉学園大学の土屋和男准教授の書かれた「ほっとな茶話」を
読んだ。

「人の生活と風土が、密接に関連して現れる景観を文化的景観という。
文化的景観は、世界遺産から発し、現在、全国で15ヶ所が重要文化的景観として
選定されている。その多くが棚田で、茶畑は今年初めて宇治が選ばれたばかりだ。

静岡の茶畑は、全国の棚田にも勝るとも劣らない、世界に誇れる文化的景観だと思
う。」と述べている。

 浜松市天竜区龍山町の「瀬尻の段々茶園」が静岡県棚田等100選に選定されて
いる。写真は、今春、水窪町大野地区の茶畑を訪ねてしみじみと眺め入った景観だ。

北遠の急傾斜地の茶畑の中に点在する人家とそこに暮らす人たちの姿は、
人と自然が
育み合う文化的景観だと思う。

 新茶の季節の茶畑は躍動感と優しさに溢れている。
眺めていると全身で微笑みたくなる。



  
2009年6月11日(木)
第26回「日本の自然」写真コンテスト入賞作品決定

1982年、「いつまでも守り残したい日本の自然」をテーマに6,970点の応募があった「21世紀に残したい日本の自然100選」の選定を記念して始まった写真コンテストの第26回入賞作品が決定し、新聞紙上に紹介された。

浜松市でも、2009年3月、「私が選ぶ・新浜松の自然100選」が4,112票の中から、市民による公開選考会を経て、102ヶ所を発表した。            


「自然」と「人の暮らし」が特別な関係にならないようにしたい。
うつくしい風景、動植物を写真に収めるこころと一緒に、傍らで生きる自然を見つける力を持ちたい。「守るもの」と「守られるもの」の関係ではないのだから、、、

昨日、鎌倉の知人から、わが家の小さな庭に3株のギンリョウソウが出現した。
驚喜しているという便りが届いた。

見つけた友のこころを思う。   
   

          
   
2009年6月16日(火)
浜松市龍山町寺尾地区に伝わる「ぶか凧」揚げ
6月14日(日)(旧暦端午の節句の日)午前10時、寺尾地区の凧揚げ場所に到着。
標高450m、眼下には茶畑と天竜川・秋葉ダム湖の水面が鏡のように光っている。

「ぶか凧揚げのタイミングは、水面に立つ白いさざ波が教えてくれる。」
「まだだ!」と「ぶか凧保存会」会長の宮澤さんが云う。
待つこと1時間。眼下の水面が鏡面から一面のさざ波に変わった。
自慢の凧にウナリを取り付け、いよいよ風に乗せる時が来た。
天竜川から急斜面を吹き上げる安定した南風に乗って、寺尾地区の大空に「ぶか凧」が舞い上がり、ウナリが周囲の山にこだまする。やがて天空に張り付いたように静止する。
80歳の大先輩は「子供のころは、自分で作ったぶか凧を何処でも揚げることができた。今は、送電線や大きくなった木が、凧上げの場所を一層狭めているから、技術がいるよ。それでも7,8枚は揚げられる。」と云う。昼過ぎには5枚の凧が見事に勢ぞろいした。

横長の四角形で骨は4本。凧特有の尾っぽは無い。普通は2帖ぐらい、大きなものでは20帖。たった2本の糸目でバランスをとる。しかも、普通の凧のように走って揚げるのではない。急傾斜の茶畑の上で凧を持ち上げ、ずっと下の茶畑で、合図もろとも糸を引く。このときの揚げ手、引き手の呼吸と風の状態が舞い揚がりの決め手のようだ。

この日は凧揚げのほかに、地域のご婦人たちみんなが持ち寄った郷土料理とお酒風を待ちながら語り合う。よその土地に出た人も帰ってくる。突然おじゃました見知らぬ訪問者も仲間に呼び入れてくれる。
伝統文化・伝統行事を守り次世代に伝えることは、人のつながりと幸せ度もUPしてくれる。
「瀬尻ぶか凧保存会」の皆様、地域の皆様に深謝。

2009年6月21日(日)
「茅の輪くぐり」 
梅雨の晴れ間に白山神社(中区高林町)で「茅の輪」をくぐりました。お正月からの半年の罪や穢れを祓い、清々しい心で残り半年を迎えるための「夏越の大祓」に行われる行事です。「水無月の夏越しの祓する人は、ちとせの命のぶというなり」という古歌を唱えながら、左回り・右回り・左回りと、八の字を書くように3度くぐり抜ける作法を教えていだいてから、ゆっくりと廻りました。  
茅の輪の起源を記した「備後国風土記」についての資料や家に持ち帰って、玄関などに懸けておく小さな茅の輪も頂きました。
                                                     
神代の時代の故事にならって、後世の人々が、疫病や自然災害の多い夏を無事過ごせるようにと、茅を刈り、大きな輪を作って、地域の人たちでくぐる。その風習が継承され、生き続けている。民俗や風習は貴重な文化だ。この夏は、新型インフルエンザや地球温暖化の禍も「茅の輪くぐり」の文化力で大祓したいと願う。


「夏越祓」に欠かせない和菓子「水無月」を作りました。水無月の上部にある小豆は悪魔払いの意味があり、三角の形は暑気を払う氷を表しているといわれています。
             
  

             
2009年6月30日(火)
純白のササユリ
 浜松市天竜区龍山町瀬尻から、不動の滝(案内の標識図が、不動橋手前の道路脇に、やっと移動した。)を眺め、「ペンション・龍山ふるさと村」への道を進む、巨岩が折り重なり、滝を連ねる河内沢が「せせらぎ」に変わる辺り、標識に従って右の舗装された山道を登る。尾根近く、大きな杉木立の中に、不思議なくらい広い駐車場がある。
山側、「瀬尻の青石」に「白山神社」と刻まれた石碑が建つている。
29日に訪れると、入口の草の中に、純白の花を3個づつ咲かせたササユリが3株、静寂に溶け込んで咲いていた。
かって、この山の至る所に咲いていたササユリだが、近年、ほとんど見られなくなってしまったと聞く。

ササユリは、静岡県以西に分布する、日本の特産種です。開花球になるには、実生から5~7年かかります。また、栽培困難種の代表でもあります。
最近では、どこの地域でも、乱採取され、自生地も個体数も激減しています。静岡県ではまだ、絶滅危惧種ではありませんが、自生地環境の整備保護へ取り組みが急がれます。
うつくしい花を、採取したり、栽培したいと思うかもしれませんが、絶滅させてしまってからでは、もう、取り返しがつきません。

純白のササユリに願う。「来年も、きっとここで咲いていていてね。」
      
                             
2009年7月7日(火)
梶(カジ)の葉と伝統的七夕まつり
庭の「カジノ木」の葉が日ごとに大きくなって、七夕まつりの季節を迎えました。
五色の短冊に、サトイモの葉の上でコロコロと揺れる露でり、願い事を書いた幼い頃の記憶が蘇ります。梅雨の真っただ中、星が見えず、ガッカリした記憶も、、、

「伝統的七夕」の日は、国立天文台が推奨する24節気の中の処暑(しょしょ)よりも前で、処暑に最も近い朔(さく、=新月)の時刻を含む日を基準にし、その日から、数えて7日目の日です。今年は8月26日・絶好の七夕日和になでしょう。

七夕といえば、今は五色の短冊ですが、古来は梶の葉を飾ったそうです。梶の葉に、恋の願いを書き川に流すと、その梶の葉は船のになり、天の川に届いて、願いが叶えられるとか。後拾遺和歌集に「天の川とわたる船の梶の葉に思ふをも書きつくるかな」 の歌がみられ、京都では、七夕の前日には梶の葉 りが、洛中・洛外を歩き ったそうです。

この季節、裏千家茶道の点前に、水指の蓋に木の葉を用いて、涼をもてなす趣向があります。裏千家十一世玄々斎の創案で、ある年の七夕の趣向の茶会に、自分の好みの末広籠の花入れの受け筒に梶(かじ)の葉を蓋して使用したのが始まりとのことです。
             

            カジノ木
七夕に、七枚の梶の葉に歌を書いて供える風習があった
2009年7月14日(火)
ハマボウとアサザ
梅雨明けを待つように太陽が朝から照りつける中、庭の「ハマボウ」にたくさんの花が咲き始めました。仿僧川の自生地で拾った、実生を育てて四十数年、根元の太さ90cm余りの大木です。透きとおる黄色の花は、朝開いて夕刻には萎んでしまう一日花です。
暫くは、落花を掃き集める朝が続きます。

 こちらは、スイレン鉢で咲いた半日花の「アサザ」です。 しかも、晴れた日にしか咲きません。日本の湖沼や水路の至る所で群生していましたが、開発や水質汚染が原因で、今では環境省のレッドデータブックで、絶滅危惧II類(VU)とされています。
庭のスイレン鉢の環境に適応して繁殖し、毎年花を咲かせます。
                              
 
2009年7月19日(日)
あたりまえの風景
天竜区船明公会堂前の通称:大池で、今を盛りとスイレン咲いている。周囲1Km余りの池を覆い尽くして咲く白い花、つややかな葉っぱの上のオニヤンマ、豪快なウシガエルの鳴声、そのままが夏の風物詩。犬の散歩をする男性に「きれいに咲いて、見事ですね。」と話しかけたら、「えっ!」と言われた。「スイレンです。」と云うと、「ああ、あたりまえに咲いていますから。」と応えられた。そういえば、先日、圧倒された、漆黒の闇に数百、数千光を放って飛び交う龍山瀬尻の「新開沢のゲンジボタル」も完全天然自然のあたりまえに光っているホタルだと「ペンションふるさと村の」小川さんが言った。
あたりまえの自然、風物が消えてしまわないように暮らしたい。
                  
2009年7月21日(火)
バイケイソウ(龍山の自然林)
4月27日、バイケイソウの新芽に埋め尽くされた,標高1,000mの尾根を歩いた。開花の様子を想像し、その時期を確認したいと思っていた。
昨日、花には遅いだろうと思いつつ、梅雨空の尾根に出かけた。
尾根筋一面にあったあのバイケイソウは、跡形もない。腐葉土に覆われた道の先でやっと見つけた一株。やっぱり遅かった!枯れた葉も茎も花も総てが土に還ったのでしょう。「潔い」植物の世界に出会い清清しく山を下りた。

          
          春の尾根道                  咲き残っていたバイケイソウ
                
2009年7月27日(月)
銅鏡が語る、古の遠州
 「銅鏡が語る、古の遠州」講演会(浜松まちづくりセンター主催)に参加しました。
講師は遠州地方に残る銅鏡の研究をすすめる、植松勇介氏(静岡産業大学非常勤講師)です。この講演会は、今回が3回目です。
 
毎回、大勢の聴講者が、それぞれの関心と期待をもって、「古」に引き込まれるように聴き入っています。
 
今回は、森町の「田能八阪神社伝世鏡」と三ケ日町の「佐久城跡出土鏡」を中心に解説して下さいました。
 
遠州、ことに北遠地方の南朝・北朝が激しく入り乱れた歴史的や秋葉信仰道と民俗・風習などの歴史を、銅鏡を中心にひも解く講演は、滅多にない、貴重なものでした。

植松氏の研究の詳細は、氏のホームページ「菱花亭」にてご覧ください。  
      田能八阪神社伝世鏡(背面)

 

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